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学び・教養
ヤマハ音楽教室の全国展開が本格化した1960年代。その一つの象徴が、1961年に開催された全国規模の講師大会です。講師研修会等での議論を通して、現場の講師たちの意見を取り入れながらヤマハ音楽教室の指導法は更新されていきます。1965年には幼児科の修業年限が3年に延長されたのに伴い、3代目『じゅにあー』へとテキストが改訂。テキスト上の楽曲から、リズム、メロディ、ハーモニーなどの音楽要素を取り出して学ぶ、統合学習の性格が強まります。

* ヤマハ株式会社は、1887年に山葉寅楠(1851-1916)が創業し、1897年に設立した日本楽器製造株式会社が前身です。現在の名称となったのは1987年ですが、本連載では読みやすさを考慮し1987年以前の出来事についても社名を「ヤマハ」で表記しています。

 

テキストによるレッスンの再現率は何%?

ヤマハ音楽教室では1959年に初のテキスト『幼児のオルガンの本』が刊行されたのち、早くも1960年に2代目『幼児の本』が編まれました。ここから歴代テキストの変遷をたどっていくに当たり、アーカイブプロジェクトにおいて各テキストのどこに注目し、どのような観点から分析を行っていたか、重要なポイントをご説明しておきたいと思います。

 

奏法などの詳細な検討は学術論文等の別稿に譲るとして、各テキストの違いを知るときに特に重要なのは、レッスンで取り上げられる内容のうちどのくらいがテキストに反映されているか、という点です。テキストに掲載された楽曲だけで実際のレッスンは成立するのでしょうか。基本的にテキストさえあれば、音楽指導者の方はみんなヤマハ音楽教室のレッスンを再現できるのか、という問いに置き換えていただいてもよいと思います。

 

本連載の初回で述べたとおり、テキストとはヤマハ音楽教室では教科書と同義です。学校の授業は教科書を使って行われます。ヤマハ音楽教室のレッスンもテキストを中心に進められるので、テキストがどんな教材から構成されているかはもちろん大事な調査項目でした。しかしヤマハ音楽教室の場合、テキストそのもの以上にテキストを用いた“レッスンの展開の仕方”にメソッドとしての大きな特徴が潜んでいます。テキストの変遷をたどるには、テキストの用いられ方もセットで調査する必要がありました。

歴代テキストの指導資料

レッスンの展開の仕方は、講師向けの指導資料にまとめられています。テキストを素材として、講師がどのようにそれを調理するのか、調理の際の味付けはどうするのか、味付けのヴァリエーションの幅をどこまで規定しておくのか。指導法としてどこまでが文章化され楽譜に起こされ、可視化されてきたのか。指導資料の厚さや構成もまた、時代とともに変化してきたのです。

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指導書の原型も『幼児のオルガンの本』にあり

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ピアノメソッドの研究

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